
仕事の英語×AI活用 — 翻訳ツール止まりにしない『添削と理由』の勉強法
『英語のメール、とりあえずDeepLに投げて、出てきた英文をそのまま送っている』——そんな方は多いと思います。翻訳ツールは便利で、意味もちゃんと通じます。でも、いくら使っても英語そのものは上達しない、という手応えのなさも、感じていませんか。理由はシンプルで、翻訳は『答え』だけを渡す道具だからです。なぜその言い回しになるのか、どこが自分の癖なのかは、教えてくれません。そこで一歩だけ踏み出す方法が、生成AIに『翻訳』ではなく『添削と、その理由』を頼むこと。自分が書いた英文を直してもらいながら、なぜそう直すのかを毎回ひとつ受け取る。この記事では、翻訳とAI添削の違い、頼み方の型、英文メール1本での実践、今日の一歩まで、順にお見せします。
まず結論
英語メールを翻訳に丸投げすると、訳文は手に入っても『なぜそう書くか』は残りません。生成AIには、自分の英文を貼って『添削して、直した箇所と理由も日本語で』と頼めます。すると直しと説明が同時に返り、使いながら覚えられます。今日は直近に送った英文メール1本を、AIに添削させてみましょう。
5 つの視点で、ぜんぶ具体に。
知識 → 手順 → 道具 → 景色 → 次の一歩。読みたいところから。
翻訳ツールを毎日使っているのに、なぜ英語が身につかないの?
翻訳ツールは『答え』だけを渡す道具だからです。日本語を入れれば英文が出てきますが、なぜその語順や単語になるのかは説明されません。だから使うたびに便利でも、あなたの中には何も残らない。上達に必要なのは、答えではなく『なぜ』の積み重ねです。そこを補えるのが、次に紹介するAIの添削なんです。
英語のメールを、DeepLに日本語を入れて、出てきた英文をコピーして送る。早いし、意味も通じる。——この使い方、まったく悪くありません。急ぎの用件なら、むしろ正解です。
ただ、ひとつだけもったいない点があります。翻訳ツールは、いわば『答えだけ』を教えてくれる道具です。テストで答えだけ写しても実力がつかないのと同じで、訳文を受け取るだけでは、なぜその言い回しになるのかが自分の中に残りません。
英語が少しずつ自分のものになるのは、『なぜこう書くのか』という理由がたまっていくときです。a と the の選び方、日本語にはない語順、失礼にならない丁寧さの度合い——こうした一つひとつの理由を、翻訳ツールは黙って飛ばしてしまいます。
地図アプリにたとえると、翻訳は『目的地までの道順』だけを表示してくれる状態です。便利ですが、いつまでも自分では道を覚えません。覚えるには『なぜこの道なのか』を一度知る必要がある。その説明役を、これから足してあげます。
図解
『翻訳』と『AI添削』は渡すものが違う
同じ英文でも、手元に残るものが変わります
翻訳とAIの添削は、何が違うの?どちらも同じAIでは?
翻訳は日本語を英語に『置きかえる』作業、AIの添削はあなたが書いた英文を『直して、理由まで説明する』作業です。前者は答えを出す道具、後者はそばで教えてくれる先生役。同じAIでも、頼み方を変えるだけで役割が変わります。だから、まず自分で書いてからAIに見てもらうのが、遠回りに見えて近道なんです。
『翻訳もAI、添削もAIなら、結局おなじでは?』と思うかもしれません。中身は近くても、やっていることは別物です。ここを分けて考えると、使い方がはっきりします。
翻訳は、日本語を英語に置きかえる作業です。あなたの代わりに、AIがまるごと英文を作ってくれます。一方の添削は、あなたが自分で書いた(つたなくてもいい)英文を、AIが直して、どこをなぜ直したかを説明してくれる作業です。
この違いは大きいです。翻訳だと、英語を考えるのはAIで、あなたは受け取るだけ。添削だと、まず英語を考えるのはあなた。AIは、あなたが考えた英文にコメントを返す『先生役』にまわります。手を動かす人が入れかわるのです。
料理教室にたとえると、翻訳は完成した料理を出前してもらう感じ。添削は、自分で作った料理を先生に味見してもらい『塩を少し減らすといい、理由はね』と教わる感じです。手間はかかりますが、次からは自分で作れるようになります。
『添削と理由』は、どう頼めば返ってくるの?
頼み方はかんたんです。自分の英文を貼って『この英語を添削して。直した箇所と、その理由を日本語で教えて』と書くだけ。これで直しと説明が一度に返ります。文章をなめらかに整えるだけならDeepL Writeも便利ですが、『なぜ』まで知りたいときはChatGPTなどに理由を頼むのが向きます。目的で使い分けましょう。
では、具体的にどう頼むか。むずかしいプロンプト(AIへの指示文)は要りません。次の一文を覚えるだけで十分です。
『次の英語を添削してください。直した箇所と、なぜそう直したのかの理由を、日本語で説明してください。』——このあとに自分の英文を貼るだけ。これで、直した英文と、変更点の理由がセットで返ってきます。理由が日本語なので、英語が苦手でも置いていかれません。
文章をなめらかに整えるだけなら、DeepL Write という無料ツールも便利です。公式の説明によると、スペルや文法の誤りをチェックし、言い換え候補や、ビジネス・カジュアルといったトーン(語調)の調整もできます。ただし『なぜ直したか』の理由は主役ではありません。
使い分けはシンプルです。『とにかく英文をきれいにしたい』ときは DeepL Write、『直しの理由まで理解して次に活かしたい』ときは ChatGPT などのAIに添削と理由を頼む。目的で行き来すれば、仕上がりの速さと学びの両方が手に入ります。
実際に、英文メール1本でやってみるには?
手順は4つです。まず自分で英文メールを書く(つたなくてOK)。次にAIに貼り『添削して、直した箇所と理由を日本語で』と頼む。返ってきた直しを読み、理由をひとつだけ頭に入れる。最後に直った英文を自分のメールに採用する。完璧を目指さず、まず1往復。これだけで『使いながら覚える』が始まります。
頭でわかっても、やってみないと身につきません。英文メール1本で、実際の流れを追ってみましょう。
① まず、自分で英文を書きます。文法があやしくても大丈夫。『とりあえず言いたいことを英語にした』レベルで十分です。② その英文をAIに貼り、さっきの一文『添削して。直した箇所と理由を日本語で』を添えます。
③ 返ってきたら、直った英文だけでなく『理由』を読みます。ここが肝心です。『Please find attached より Please see the attached file のほうが自然。理由は〜』のように、日本語で説明されます。全部覚えなくていいので、ひとつだけ頭に入れます。④ 直った英文を、自分のメールに採用して送ります。
大事なのは、最初から自分で書くこと。翻訳に丸投げすると、AIが考えてあなたは受け取るだけ。でも自分で一度書いてから直してもらうと、『あなた自身の癖』に対する理由がもらえます。これが、翻訳では絶対に手に入らない学びです。
図解
英文メール1本でやる4手順
完璧を目指さず、まず1往復してみる
- 01①自分で書く文法があやしくてもOK。まず英語にしてみる
- 02②AIに頼む「添削して。直した箇所と理由を日本語で」と添える
- 03③理由を読む直しの理由をひとつだけ頭に入れる
- 04④採用する直った英文を自分のメールに使って送る
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使いながら覚えるコツと、気をつけることは?
コツは『理由をひとつだけメモする』こと。全部覚えようとせず、毎回1個の気づきを残すと、同じミスが減っていきます。丸暗記は不要です。気をつけたいのは安全面。社外秘や個人情報を含む文面は、無料のAIや翻訳に貼らないのが安心です。社名や数字を伏せた練習文や、公開しても困らない内容で試しましょう。
続けるほど効いてくる、ちょっとしたコツと注意点をまとめます。ここを押さえると、無理なく習慣にできます。
いちばんのコツは、『理由をひとつだけメモする』こと。添削で返ってくる直しは、ときに10個も20個もあります。全部覚えようとすると疲れて続きません。『今日はこれ』と1個だけ選んでメモ帳に残す。次に同じ場面が来たとき、それがふっと効いてきます。
気をつけたいのが、情報の扱いです。無料の翻訳やAIは、貼った文章がサービスの改善(学習)に使われる場合があります。実際にDeepLも、無料版では社外秘・個人情報・未公開の契約内容を含む文書は避けるよう案内しています。練習は、社名や数字を伏せた文や、公開しても困らない内容で試すのが安心です。
もうひとつ。AIの説明も、たまに間違えます。『なるほど』と鵜呑みにせず、大事な表現は辞書や公式サイトの例文でもう一度確かめる。この一手間が、あやふやな知識をためこまない支えになります。
図解
続けるコツと、気をつけること
- 01理由を1つメモ全部覚えず、毎回ひとつだけ残すと続く
- 02社外秘は貼らない個人情報・未公開情報は無料AIに入れない
- 03説明も確かめる大事な表現は辞書や公式の例文で再確認
続けると、仕事の英語はどう変わる?
翻訳の順番待ちが減り、自分の言葉で書ける範囲が少しずつ広がります。よく使う言い回しは体にしみつき、短いメールならAIなしでも書けるように。京都大学の実践報告でも、AIのフィードバックで自分の英文を直す学び方が、学びの手応えにつながったと報告されています。答えをもらう毎日から、理由がたまる毎日へ。それが、続けていちばん効く変化です。
この習慣が身についてくると、仕事の英語まわりが、じわじわ変わってきます。少し先を想像してみてください。
まず、翻訳の順番待ちが減ります。今は英文を書くたびにツールに投げていたのが、『これくらいの短いメールなら、自分で書ける』範囲が少しずつ広がる。よく使うあいさつやお願いの言い回しは、繰り返し直されるうちに、体にしみついていきます。
学び方としても、理にかなっています。京都大学国際高等教育院の2025年の実践報告では、学生が生成AIからのフィードバックを受けて自分の英文を改訂していく学び方が取り上げられ、学びの手応えや満足度の面で肯定的に受け止められたと報告されています。自分で書いて、直されて、理由を知る——この往復が学びを深めるということです。
いちばんの変化は、英語との距離感です。『翻訳がないと一文字も書けない』状態から、『まず自分で書いて、AIに見てもらえばいい』へ。答えをもらうだけの毎日から、理由が少しずつたまる毎日へ。派手ではありませんが、これが半年後にいちばん効いてきます。
まず今日、何から始めればいい?
今日は、直近に自分が送った英文メールを1本、開いてみてください。それをAIに貼り『添削して。直した箇所と理由を日本語で』と頼むだけ。返ってきた理由から、ひとつだけメモに残せば今日は十分です。過去の1本が題材だから、5分もかかりません。この小さな1往復が、翻訳止まりから抜け出す入口になります。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。最後に、今日できることを一つだけ。
新しく英文を用意する必要はありません。直近にあなたが送った英文メールを、1本開いてください。翻訳で作ったものでも、自分で書いたものでも大丈夫です。それをChatGPTなどのAIに貼り、『次の英語を添削してください。直した箇所と理由を日本語で説明してください』と頼みます。
返ってきたら、直しをながめて、『へえ』と思った理由をひとつだけメモに残します。全部覚えなくていいので、今日はひとつだけ。それで完了です。過去に送ったメールが題材なので、書く手間もなく、5分あれば終わります。
全部を今日やろうとしないのが、続けるコツです。まずは1本、1つの理由。それだけ。その小さな一歩が、『翻訳に丸投げ』から『使いながら覚える』への切り替えスイッチになります。明日の英語が、少し軽くなります。
図解
今日の一歩(5分でできる)
過去のメール1本が題材。新しく書かなくていい
- 01メールを1本開く直近に送った英文メールを用意する
- 02AIに貼る「添削して。直した箇所と理由を日本語で」
- 03理由を1つメモ「へえ」と思った理由をひとつ残す
③ 道具
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出典
参考にした情報源
この記事の内容は、次の一次情報・公式資料をもとにしています。気になる点はご自身でも確かめられます。
- 京都大学国際高等教育院 紀要 第8号(2025年3月)研究AI活用により英語学習者を自律的ユーザーに育てる(実践報告)
学生が生成AIからのフィードバックを受けて自分の英文を改訂する課題を通じて学びを
z.k.kyoto-u.ac.jp
著者プロフィール

MANTA / 岩崎 正宏
映像とデザインで「伝わる」をカタチに。
中堅飲食グループの広報・マーケをしながら、UNLEASH TALENT で映像制作とデザインを手がけています。大事にしているのは「伝わるか」。見た目のこだわりも、AIを使った効率化も、ぜんぶ"伝える"ための道具です。YouTube(@MantaTV)、長福寺の次期住職、4歳の娘の父——いろんな顔で、現場で本当に効いたことだけを書いています。
